砂押川プロムナード

2025/4/4

 大船駅から歩いて行ける、桜の隠れた名所。途中には、松竹撮影所跡があります。源流は鎌倉湖(散在ヶ池)で、昔は今泉・岩瀬・大船の田畑を潤していました。砂押川は大船駅の下をくぐり、柏尾川に合流します。

砂押川プロムナード(1)

 大船駅の笠間口(北口)を出て、階段を降りると、すぐ右手に橋があります。この橋が砂押川にかかる砂押橋です。ショッピングデンター・グランシップの脇の公園を抜けて川沿いに歩いて行きます。途中、いくつもの橋が川に架かっていますが、それには第○松竹橋と彫られた小さな石標がたもとにあり、ここがかつての松竹撮影所への道だったことが分かります。

2009/4/3

途中で見かける橋 左は松竹第五号橋、右は松竹大通橋、とある。

松竹第五号橋
松竹大通橋
2022/4/1  右は大船郵便局
2022/4/1
2022/4/1
2024/4/10

松竹撮影所跡

 松竹撮影所跡は、現在はスーパーダイエー、鎌倉女子大のキャンパスになっています。
 ダイエーと女子大にはさまれたスペースに最近まで寅さんと美空ひばりの大きな看板と、その下に撮影所で働いていた人たちの名前を列記したパネルがありました。
 それらも何時の間にか撤去され、現在はその一角に小さな石碑があるだけです。

松竹撮影所跡
2015/4/24 現在は、この看板はありません。

 松竹大船撮影所は昭和9年に建設が始まり、撮影が始まったのは昭和11年1月でした。それ以来、大船は映画の町として知られるようになり、田中絹代の「愛染かつら」がヒット、戦後も佐田啓二・岸惠子の「君の名は」などメロドラマスターが誕生、監督も小津安二郎や木下恵介らが次々とヒット作を出し、「大船調」といわれる作風は一世を風靡しました。近年では寅さんシリーズはこの撮影所で撮影されました。
 しかし、映画の観客数が急速に減少、昭和50年代からは次第に撮影所を縮小させ、商業施設などに売却、平成7年10月10日には松竹創業百年を記念して撮影所敷地内に鎌倉シネマワールドをオープンしましたが、わずか4年で営業不振に陥り、平成10年12月15日に閉館しました。
 ついに平成12年6月30日を以て撮影所を閉鎖、跡地には鎌倉女子大が開設されました。上に紹介したように、跡地の一角に美空ひばりと渥美清の巨大なメモリアルタイル絵とスタッフのサインなどを刻んだ記念碑がありましたが、現在ではそれも撤去され、ここが撮影所であったことを示すものは残っていません。
 ただ一つ、イトーヨーカ堂と女子大の間の小さな広場の端に小さな石碑が立っており、そこに松竹撮影所の名を読み取ることが出来ます。

 この石碑は柏尾川ぞおいに植えられた桜が、松竹撮影所開設の時に植えられたものであることを伝えています。
  桜樹壱千貳百本
 贈 松竹大船撮影所落成記念
  昭和十一年四月吉日
とあり、昭和11年(1936)に、松竹撮影所落成記念として、1200本の桜が贈られたことが分かります。
 今から約90年前のことでした。

 松竹大船撮影所の資料と写真は、その跡地に建てられた鎌倉女子大図書館の一室に保管されており、希望者は申し出れば見学できます。

2024/4/10 イトーヨーカ堂裏広場 右手が鎌倉女子大
2024/4/10 ヨーカ堂裏の空き地 建物は鎌倉女子大
2024/4/10 ヨーカ堂裏の空き地 背景は岩瀬のマンション

柏尾川プロムナード(2)

 2025年4月4日、イトーヨーカ堂と鎌倉女子大の間の、松竹撮影所の桜寄贈記念碑のあるところから、砂押川を東に遡り、プロムナード終点まで行きました。川面に垂れ下がったソメイヨシノが満開ですばらしい散歩となりました。

終点 砂押橋から下流 岩瀬の街並み

鎌倉女子大前の桜

 ヨーカ堂裏の空き地まで戻り、左に折れて女子大の前を通り、鎌倉芸術館の方に向かいます。屠龍には若木が多いですが、桜が何本も植えられています。

2024/4/10 女子大前
2019/4/7

三菱電機 構内の桜並木

2024/4/10

 鎌倉芸術館の右、中央病院の先にある三菱電機大船工場の構内には見事な桜並木があります。毎年、桜の時期の日曜には、一般の通り抜けができます。桜の好きな人はぜひどうぞ。(開催日は三菱電機大船工場に問い合わせてください。)

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